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Dr.Lukeの一言映画評-男の生き様と死に様

午前中はプール&サウナの巡航モード。午後は次女も一緒に、ランチをモーパラのしゃぶしゃぶ食べ放題で。タンパクをたっぷりと補給し、映画。観たいのが3本ほど重なったのだが、やはりハリウッド。

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かつての男のセックス・シンボルだった肉体派ミッキー・ロークの『レスラー』。肉体だけを己のアイデンティティと人生のすべてとする、落ちぶれたレスラー、アンディ・ラム。かつては栄光のリングのヒーローも、家族を捨て、また捨てられ、独りうらぶれた興行で日銭を稼ぐ。が、ある日心臓発作で倒れ、ACバイバスのオペを受け、レスラーとしては再起不能を宣告される。ついに彼も引退を決意。

しかし己のアイデンティティと居場所を探してさ迷う中で、ストリッパーのキャシディと恋に落ちるも、子持ちの彼女は彼を拒絶し、別れた娘を訪ねるも、彼女も父親を最低男と頑なに拒絶する。実は、いずれも愛の裏返しなのだが、とちらにも居場所を見出すことができず、ついに完全なる孤独に追い詰められるラム。かくして日銭を稼ぎつつ余生を送るより、リングで最期を迎えることを決意する。そこだけが俺のまことの居場所だ、と。彼を追ってかけつけたキャシディの愛を振り払ってリングに向かうラム。そして・・・・・。

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何だかアリスの『チャンピオン』を彷彿とするが、まさにミッキー・ローク自身の自伝的作品。カメラアングルも映画と言うよりはドキュメンタリータッチ。かつて一世を風靡した二枚目俳優のロークも90年代になると作品に恵まれず、俳優業に裏切られ、ボクシングに入れ込み、顔も変形するほどだった。整形手術が失敗し、かつてのイケメンはない。そのパンチはネコパンチと揶揄される。あれだけマッチョだったのに、肥満にも。

かくしてカミさんに逃げられ、作品に逃げられ、完全なる孤独に落ちる。しかし、その生き様をそのままこの作品で再現し、アカデミー賞にノミネート。が、作品があまりにも彼の写しだったため、演技ではないと評され、皮肉にも受賞を逃す。二枚目はどう脱皮するか、なかなか難しいのだ。

しかし、男のまことのアイデンティティの証明は何か、またその居場所はどこにあるのか?今日、経済難民がさ迷うニッポンにおいても同じ問題意識を避けて生きることはできない。

影の声:ジャン=クロード・ヴァン・ダムといい、ミッキー・ロークといい、肉体派は老いてから寂しいものがあるなあ~。人事ではありませんから。しかもこの二人『ダブルチーム』で見事な肉体をさらしつつ競演しているのです。かつてのロークの映像を貼っておきます:

    * * *

男の生き様を3人で話していたら、次女が昨晩面白い経験をしたと話してくれた。彼女はバスケットを今も続けており、大学で練習試合をした帰りのこと。都内某所の夜も更けて10時半。友人らと一緒に歩いていると、前を歩く30台位のカップルの女性がいきなり卒倒したのだ。顔が真っ白になり、手足が痙攣している。ところが連れの男が、大声で彼女の苗字を呼び捨てにしつつ、すごい剣幕で彼女の顔を往復ビンタし始めたのだ。彼女は倒れるとき頭を打ったので、次女が「安静にしたほうがいいと思います」と助言しても、一切耳を貸さず、男は張り続けた。
続き
次女の友人がケイタイで救急車を呼ぶと、男が「困るんだよっ、俺たち不倫だから、ばれたら女房に離婚されちゃうよっ!」と言い出したとか。救急車が来ても同乗することもなく、何と次女たちと一緒に帰り出したのだ。しかも彼女たちに「お礼をしたいから」と名刺まで出して、「これから俺の金で飲みに行こう」と誘うのだ。丁重にお断りして、その男と別れたのだが、この男、かなりの有名企業の統括本部長。女性の苗字を呼び捨てにしてたところから、彼女は彼の部下だろう。しかしよほど動転したのだろう、ばれることをひたすら恐れて、自分からぺらぺらしゃべり出し、次女たちに口封じのためお礼をするとまで名刺を渡してしまったのだ。

やれやれ、男の愚かさ丸出し。部下の女性と飲んで都内某所を歩いていたって、別におかしくないだろうに、相当にやましさを覚え、会社での立場を思い計ったのだろう。私も彼の素性を知ってしまったぞ。これをネタに、「この名刺、いくらで買っていただけますか」とかやると松本清張の世界が展開するわけだ。次女たちも「うちら、殺されないかなあ~」とひそひそ話しながら帰宅して来たのだった。

それにしてもだ、この統括本部長、週明けに会社で彼女とどんな顔で会うのだろう。彼女もこの男の本性が分かってしまったわけで、これは下手すると修羅場が展開しそうな悪寒がします。果たしてこの男、これからどんな生き方をするのであろうか?

【Dr.Luke的解説】男は身を呈してでも、まず第一に女を守るべきなのだ。女性は理屈や利害で動くのではなく、自分に対する相手の真心を知るとき、真に献身的になるもの。この統括本部長も彼女を守ることを第一にしてたら、彼女が彼を守ったことであろう。しかし彼は自分の立場を守ろうとしたばかりに、この女性を失った。このツケは高くつくだろう。前にも紹介したが中村雅俊も歌っている:

別れの場面のたび、女は女優だった・・・/幸せ終えてみれば、男は喜劇だった

追記:宮城野親方、八百長を愛人に告白し、処分へ、だそうだ(→記事)。嗚呼、男、おとこ、オトコなるものは・・・・。かく言う私も散々不恰好な事をして参りましたが。

 * * *

ファイル 900-3.jpg本日の一枚はSarah Burgessの"EMPRESS"。若いが切ないヴォイスが魅力的。ジャンルはpopsだが、R&BやHIPHOP的要素もあってノレる。何とも言えないビートが気持ちよく響く。

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