宇宙は素数の中に-魔性のリーマン予想-

このNHKスペシャルはすごい。「リーマン予想」に取り憑かれた数学者たちの悲劇の運命。「フェルマーの定理」は数年前に完全に解けたのだが、こちらはまだ。2004年に解けたと宣言した数学者もいるが、まだ他者の吟味をクリアしていないようだ。ちなみに「リーマン予想」とは、素数についてリーマンが1895年に予想した定理。次のようになる:

ゼータ関数

$$\zeta (z)=1+\frac{1}{2^{z}}+\frac{1}{3^{z}}+\frac{1}{4^{z}}+\cdot \cdot \cdot =\sum_{n=1}^\infty \frac{1}{n^{z}}$$

の非自明なゼロ点の実部はすべて1/2上にある。つまり非自明のゼロ点を与える複素数は

$$z=\frac{1}{2}+bi$$

の形である。なお、自明のゼロ点とは-2,-4,-6・・・などの負の偶数。

この図はゼータ関数の実部または虚部が0になるラインを描いたもの。よって曲線が交わる点はゼータ関数を0にする。これが零点。見てわかる通り、\(a=\frac{1}{2}\)の直線状にある。このように定理の内容自体はフェルマーの定理と同様にきわめて単純。が、証明ができない。十分性は示されているが、必要性が。現在までにコンピュータ実験により、虚部が小さい方から約15億個までの複素零点はすべてリーマン予想を満たすことが分かっているが、それはまだ有限の世界。

さらにすごいことは、素数の間隔の分布が量子のエネルギー順位の分布と同じ数式であること。一方は整数論の世界、他方は物理学の世界。その一見無関係な世界での法則が同じであること。ここから宇宙の創造の神秘の暗号が素数には埋め込まれていると、数学者も物理学者も考えているのだ。かつてピタゴラスが、宇宙は数である、と言ったが、まさにその世界。神は何かのメッセージを素数にこめているのかもしれない。

そしてもっと不思議なのは、それをわれわれの大脳が理解できると言うこと。宇宙は数学で記述できるが、なにゆえに大脳はその宇宙の言語である数学を生み出し得るのか。私的には神がア・プリオリに埋め込んだと思えるのだ。多分、私の大脳にも埋め込まれているのだろうが、それを見出すことができない。

それができるのがいわゆる天才。だからわれわれ凡才も、天才の発見を追体験することはできるわけ。しかもその素数は、現在のネットの暗号化技術の核となっている。私が20%の真のエリートを作れと言っている理由はここにもある。あとの80%はその上に乗って生きることができるのだ。

まことに数学は手の届かない絶世の美女のようなもの。うかつに手を出すとこちらが崩壊する。だから遠くから見ているだけ。その美しさに惹かれながら・・・。

51vote
Article Rating

是非フォローしてください

最新の情報をお伝えします

Subscribe
Notify of
guest

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments
Translate »
0
Would love your thoughts, please comment.x
()
x