アイオンはI-AMのレーマがフレーム化されたもの-シミュレーション仮説

宇宙はなぜ存在し、その大きさは、その向こうは、その運命は・・・と実にロマンをかき立てる。その存在の理由は、何者かが作ったか、偶然に存在に至ったかの二つの可能性がある。現代科学でも造物主の存在を認めざるを得ないところに立ち至っているが、ではそのアイデンティティーは?が次の問題となる。

我々的にはもとより、「ありてある者」すなわち”I-AM”であり、その名をYHWHと称する他の何かの原因によらず存在する存在そのものである。存在とは何か?といった哲学的問題はこのI-AMを抜きにしては解決できない。なぜなら存在の原因を探ると無限後退性の罠に陥るからである(☞科学と信仰)。

聖書は次のように啓示する:

信仰によって、この世が神の言葉(レーマ)によって造ら(フレーム化さ)れたこと、したがって見えるものは知覚しうるものから生じているのではないことを、私たちは理解している。-Heb 11:3(岩波訳)

Through faith we understand that the worlds were framed by the word of God, so that things which are seen were not made of things which do appear. (KJV)

この意味でこの世界はプログラマーI-AMによるシミュレーションであると言えるのだ。そして現代物理学の最前線でもリアリティーはある何かによるシミュレーションであるとする説が唱えられている。

Princeton physicist Hong Qin creates an AI algorithm that can predict planetary orbits.The scientist partially based his work on the hypothesis which believes reality is a simulation.The algorithm is being adapted to predict behavior of plasma and can be used on other natural phenomena.

いわゆる物理学は現象を観察して一般法則を導き(帰納法)、その法則を用いて未来を予測したり(演繹)、現象をコントロールするのだが、その法則性を抜きにして、時空間を格子状に区切りAIを学習させて惑星の運動などを再現することができるというわけ。つまり法則はブラックボックスとしたまま、世界を記述できるのだ。

これは有限要素法として知られている手法にAIを組み合わせたものだが、その手法による我々がリアリティーとみなしている世界の再現(シミュレーション)が可能であることは、すなわちわれわれがリアリティーとみなしている世界そのものが何者かのシミュレーションであると結論できることになる。

湯川秀樹は世界は連続ではなく、蜂の巣のような素領域(クオンタム・フィールド)によって構成されるとする説を晩年に唱えていた。

つまりこの時空”連続”体と通常みなされている世界は、実は連続ではなく、離散(ディスクリート)であるというわけだ。その各素領域に種々の物理量(作用素)が与えられており、その挙動により各種の素粒子が生まれ、物理現象が生じると言う。その振る舞いを誰かがデザインしているとするのだ[1]すでに人間を超える高度の知性がデザインしたとするInteligent Design仮説(ID理論)が提唱されている。

そこで例えばこのビデオを見てみると、時空間の中で「シャボン玉が割れる」という現象を1秒間に50,000フレームで高速撮影したものをスローで再生すると、実に美しい世界を見ることができる。これは1秒を50,000分の1の区間に切ったことになる。では10万分の1にすれば、100万分の1にすれば・・・とテクが高度になればその間隔を無限に小さくできる。それはどこまで可能なのだろうか?

ここで素領域とか素時間間隔といった説が浮上する。世界はつながっておらず、飛び飛びのエネルギーレベルしかとり得ない量子(離散)のような、それ以上は分割不可能な領域や時間があるだろうとするのだ。エネルギーや振動数が離散ならば、空間や時間が離散であってもおかしくはない。逆にその方が一貫性がある。まことに不思議な感覚を覚える次第。

ここで道元の時間論が浮上する。彼はこう言う:

 たき木、はひとなる、さらにかへりてたき木となるべきにあらず。しかあるを、灰はのち、薪はさきと見取すべからず。しるべし、薪は薪の法位に住して、さきありのちあり。前後ありといへども、前後際断せり。灰は灰の法位にありて、のちありさきあり。
 かのたき木、はひとなりぬるのち、さらに薪とならざるがごとく、人のしぬるのち、さらに生とならず。しかあるを、生の死になるといはざるは、仏法のさだまれるならひなり。このゆゑに不生といふ。死の生にならざる、法輪のさだまれる仏転なり。このゆゑに不滅といふ。
 生も一時のくらゐなり、死も一時のくらゐなり。たとへば、冬と春のごとし。冬の春となるとおもはず、春の夏となるといはぬなり。

正法眼蔵-現成公案

われわれが生きるプラットフォームは、クロノス(物理的時間)における過去でもなく、未来でもない。ただ現在のみ。夏目漱石も「前後を切断せよ。みだりに過去に執着するなかれ。いたずらに将来に望を属するなかれ。満身の力をこめて現在に働け。」と言っているようだ。後悔や不安はまさに前後が裁断されていないことによって生じる。ただしこれは主観的時間論ではあるが、意識における時間も連続ではなく切れていると言うわけだ[2]なお、最近では時間は意識から生み出されるものであり、物理的絶対存在としての時間などは「ない」とする説も提出されている。まことに

Now faith is the substance of things hoped for, the evidence of things not seen. -Heb 11:1

かくしてアインシュタインによりニュートンの絶対空間と時間が否定されたように、われわれがリアリティーとみなしている絶対世界も何かから創出されているとする方向に進んでいるわけ。まさにそれはヘブル書が啓示する通りのところなのである。かくしてサイエンスはバイブルを後追いしている!

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1 すでに人間を超える高度の知性がデザインしたとするInteligent Design仮説(ID理論)が提唱されている。
2 なお、最近では時間は意識から生み出されるものであり、物理的絶対存在としての時間などは「ない」とする説も提出されている。

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