米による超長期的対日政策「オレンジ計画」の正体

わたしはアメリカの超長期的対日政策により、開国=政治的去勢、原爆=軍事的去勢、バブル崩壊=経済的去勢、原発事故=倫理的去勢と、四回の去勢を受けたため、対米関係においてエディプス葛藤を克服できず挫折しているために、対米関係において自立はできないと述べてきている。

先に紹介した本書、アメリカの本質と姿勢を論証している。いわゆる白人による白いキリスト教徒と結びついた帝国主義は世界を動かす原動力であるが、それはノア預言の成就である。

カナン(黒人の祖)は呪われよ/奴隷の奴隷となり、兄たちに仕えよ。セム(黄色人の祖、特にユダヤ人)の神(エロヒム)、主(YHWH)をたたえよ。カナンはセムの奴隷となれ。神がヤフェト(白人の祖)の土地を広げ(ヤフェト)、セムの天幕(ユダヤ・キリスト教)に住まわせ、カナンはその奴隷となれ。-Gen 9:25-26

この預言をそのまま実行するかのようにセオドア・ルーズベルトはこう述べている:

平和への最も有効な手段は軍備だ。立派な民族は戦う民族であり、臆病は許されざる罪だ。国家は武力で防衛されなければ存立し得ず、武力を背景としない外交は無力だ。アメリカが小型の防衛型砲艦を装備してきたのは間違いで、攻撃型戦艦を装備すべきだ。

そして1897年、マハン大佐の提言を具体化する「オレンジ計画」を策定した。

1901年、26代大統領に就任した彼は「海軍の強化」を唱え、その海軍とは「棍棒」であり、外交問題については「太い棍棒を持って、静かに話すこと」とした。

彼は「アングロ・サクソン至上主義者」であり、「後進民族が自治能力を持っていなことは明白である。先進民族が後進民族を統治するの『文明の波及』という点で人類にとって望ましく当然である。『アングロ・サクソンの偉大な文明』でフィリピンやインドやアフリカなど後進国を統治すること、彼ら後進国がアングロ・サクソンの統治を受けることは、後進国にとって望ましいことである。

アメリカ人がインディアンを殺し、インディアンの土地を奪い、インディアンを支配するのも『文明の進歩』という意味で当然であり、インディアン自身にとっても幸福なことなのだ。ハワイ原住民もフィリピン人も、インディアンと同様である。これが人類の偉大な進歩であることを、疑問に持ったことはない」と述べた。

そして「自分の考えは帝国主義者としての民主主義だ」と結論した。

こうして特に太平洋側に重点を置いてその考えを具体化していく。これが対日政策たる「オレンジ計画」であった。表向きは『忠臣蔵』を好む親日家、しかし裏の顔はアングロ・サクソン至上主義の帝国主義的侵略者だったのだ。

その「オレンジ計画」のルーツはマハン大佐であった。彼はアメリカ海軍にとっては「偉大なる栄光の人物」であり、日本にとっては「最悪の疫病神」と言うべき人物である。軍人と言うよりは青白きインテリであり、軍功はさほどないが、文筆家として『歴史に及ぼす海軍力の影響』を著し、これがルーズベルトの施策の源泉となる。彼は江戸時代末期から明治に至る殺伐とした混乱した日本を実地に見分して、日本人は未開の野蛮人であるとして黄禍論を唱えることになる。『シー・パワーとアメリカの利益-現在と未来』をも上梓し、その中でこう述べる。

 「英米アングロ・サクソン連合」により、「海上交通路」を支配すべき。アメリカへの「日本人など黄色人種移民の受け入れ」に反対。「ハワイ併合」と「海外における貯炭所確保」の必要性。「パナマ運河建設」の必要性。未開で野蛮な異教徒をキリスト教に改宗さえるべき。

その後アメリカは「大陸内西進」をさらに「太平洋への西進」へと発展させ、アメリカの海軍基地を太平洋上に確保するために、スペインの植民地であったグアムやフィリピンを奪ったのである。最終的には彼らから見て西の果てにある日本が標的とされ、「米墨戦争・米西戦争の次は、未熟で貧しい小国日本を征服し、日本をアメリカの植民地にすべき」と述べたのだ。

ルーズベルトはハマンの思想に感化され、日露戦争で弱った日本のためにロシアと講和条約を執りもったが、これはロシアをけん制するために日本を用いるためであり、一方で日本を適度に弱らせておくための策であった。かくしてアメリカは海軍力を強化し、

最終的には日本人を「徹底的に抹殺する悲惨な結末」を迎えるまで、アメリカは手を緩めず、断固として戦い、日本を「無条件降伏」に追い込むという固い決心の現れが「オレンジ計画」(1906年版)であった。

そしてこの計画はセオドア・ルーズベルトの縁戚のフランクリン・ルーズベルトにより実行されたのだった。彼が「最初に手を出させる」ためにパールハーバー攻撃を事前に知りつつも、山本五十六にやらせたことはすでに事実として確認されている[1] … Continue reading戦後はGHQのマッカーサーにより、15歳の精神レベルと評された黄色い猿たる日本人は、文明的な白いキリスト教と共に自由と平等の米的民主主義を押し付けられ、GHQ謹製「日本国憲法」の元で先進国として世界に認知されるようになったのだ[2] … Continue reading

ところが、不思議なことに、白いキリスト教は、ザビエルの時も植民地化を目論む魂胆を見抜いた秀吉などにより拒否られ、戦後も依然として拒否られて(一時ブームがあったが)、「バカの壁」と共にいわゆる「1%の壁」に囲まれて、タコツボ業界として限界集落化している。ニッポンキ業界ではリバイバル音頭を目論んで必死で祈れ~、信仰に励め~と鼓舞するも、彼らは虚しくも燃え尽き症候群状態に陥り、一種の霊的アパシー(無気力)の症状を呈しているのが現状である。

かつて三島由紀夫は「このまま行ったら日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るであろう」、そして「人間というのは豚になる傾向もっている」と予言した。「今だけ・カネだけ・自分だけ」の「三だけ」国家に堕したこの国の末路を見事に透視している(ただし、すでに経済大国でもなくなってしまったが)。極私的には、ニッポンキ業界をみるとき、まことにニッポン社会とニッポキ業界は合わせ鏡であると思わざるを得ないのだ。

51vote
Article Rating

References

References
1 なぜ、山本はハワイに向かったのか? これは海軍のメダチの為であったとも言われている、アメリカによるハワイの併合の経緯に日本が絡んでいたことを見ると、なんとなく納得できる感じもするのだ。つまり一矢報いたかったのだろう。
2 本当のところ、どう見られているかは分からない。経済的に利用できるだけの存在意義だったかもしれない。いずれ米からも用意済みとされることも大いにあり得るだろう。

是非フォローしてください

最新の情報をお伝えします

Subscribe
Notify of
guest

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

0 Comments
Oldest
NewestMost Voted
Inline Feedbacks
View all comments
Translate »
0
Would love your thoughts, please comment.x
()
x