Dr.Lukeの一言映画評と本日の一枚
- 2010/05/03 22:15
- Category: 映画
- Tag: 音楽 CD
連休は遠出は疲れるので、いつもどおりの近間で遊んでいます。映画もチネチッタですが、夜はまた昼とは違った感覚を楽しめる。
作品は『月に囚われた男』。
宇宙飛行士のサムは、エネルギー資源のヘリウム3を地球に送るため月へと派遣された。契約期間は3年だ。地球との直接通信を許されておらず、話し相手は人工知能搭載ロボットのガーティだけだ。楽しみにしていたテレビ電話での妻テスとの会話も衛星事故によって交信不能となってしまっていた。それでも孤独に耐え任期終了まで2週間を切ったある日、サムは自分と同じ顔をした人間に遭遇し…。
自分とまったく同じ姿と記憶を持つ自分と会話する自分。どっちが本物か、混乱するが、その理由はかなり怖い。果たして自分とはどのようにして構成されているのか。DNAがまったく同じ一卵性双生児とても、それぞれが自分を持つ。その主要な要素は自分の一貫性・連続性だが、それは記憶に基づいている。したがって同じ記憶をインプラントされると、自分が何人も生み出せるわけだ。しかしその事実を知るとき、果たして人が味わう絶望はどのようなものであろうか、これをシミュレーションできる作品。
手塚治虫の『火の鳥』に、輪廻によって永遠に生まれ変わり、同じ人生を送る女の物語があったと記憶しているが、その最後の場面を見て、輪廻に対して絶望的な感覚を覚えた。この輪廻思想はかなり怖い。これに通じるものがある。映像は『2001年宇宙の旅』を彷彿とする。この映像を見ていると、アポロの月面着陸もフェイクだったかもしれないなどと、つい想ってしまうのだ。
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本日の一枚は日本製R&Bディーバ、SATOMI'の"Blackrystal"。
独特の〈揺れ〉〈温度感〉〈手触り〉を持つ表情豊かな歌声と、R&Bやヒップホップをベースとしながらもより普遍的なキャッチーさを備えたポップな楽曲で、デビュー時から熱い視線を集めてきたシンガー、SATOMI'。
とあるとおり、20歳だそうだが、イギリスなどでもCDを出す実力派。ヴォイスは若いが、かなりの深みを感じさせる。こういうアーチストがいるのですね、ニッポンにも。
●Candy Magic