虚勢は滅びに先立つ
本日、関羽が死んだ。といっても、今観ているDVDの中でだ。すでに実勢を失いつつも、プライドによる虚勢を張り、情勢を甘く見て、部下の進言も拒絶し、曹孫軍に挟み撃ちされる。『演義』では少数の手勢で勇猛果敢に打って出て、追い詰められ自決。『正史』では降伏するフリをして時間を稼ぎ逃亡を図るが、討たれる。享年58歳。
人間、実績を積むことは大いなる罠となる。50代ってそこそこ自信も余裕も生まれ、己が何者かのように思える、そんな感じのシーズンではある。関羽も思い込みゆえ、部下の情報にも耳を貸さず、敵を見くびるミスを犯す。実績と自信が思い込みを生むのだ。
すでに亡き呉の周瑜は36歳で逝った。孔明にライバル意識を燃やしつつも、常に先読みされて敗北を喫する。天はなぜ孔明を生んだのかぁ!と叫びつつ逝くのだった。この二人、関羽と周瑜、実によく似ている。忠義の士、勇猛果敢、己に頼むところすこぶる厚く、実績もある。が、イマイチ読みが浅い。結局はプライドのために己を滅ぼす。その際、共に毒矢を受けたことが致命傷となる。
いやはや、人生模様はまことに多彩にして狭き道なり。かつて曹操は詠んだ―
酒に對して当に歌ふべし
人生 幾何ぞ
譬ゆるに朝露の如し
去る日は苦だ多し
慨して当に以て慷すべし
幽思 忘れ難し
何を以てか憂ひを解かん
惟だ杜康有るのみ(杜康は酒の名)
その曹操も関羽の死後、まもなく死ぬのだった。で、これから司馬懿と諸葛孔明の戦いになるわけだ。さてさてまだ楽しめるゾ・・・。