Dr.Lukeの一言映画評:「空海」
2018-02-24
傾国の美女と言われる楊貴妃(楊玉環)の死の秘密を、後の遣唐使空海と白楽天(白居易)が探る幻想物語。史実に基づきつつ、中国の伝奇物語風にアレンジし、安禄山の安史の乱により追われた玄宗皇帝によって自死を求められて逝く悲話をファンタジックに脚色。高力士に靴を脱がさせて讒言され、宮廷を追放された李白譚も絡めて、CGを用いてカラフルに、しかしその悲劇性を描いている。
途中黄鶴楼の詩などの逸話も思い起させる部分もあり、当時の唐詩を知らないと味わいが損なわれるかも知れない。さらに阿倍仲麻呂が貴妃を慕って、日本に連れて帰るという逸話も交えて悲恋の物語ともなっている。
貴妃は豊満なボディに恵まれ、当初玄宗の息子の妻だったが、玄宗の寵愛を買って后となるわけで、いやはやこの辺りからその末路は運命づけられていたとも言える。まことに極めがたきは男女の仲とソロモンも言っているわけで・・・。
白居易の長恨歌の「春寒賜浴華清池、温泉水滑洗凝脂」などは実に艶めかしい描写。が、李白は彼女を趙飛燕になぞらえてしまい、玄宗の不興を買う。まことに女性に対する誉め言葉も選ばないとエライことになるわけでして・・・。この辺りはずっと前にマイ・ブログに書いておりますので興味のあるむきはどうぞ(☞「趙飛燕譚」)。
権力者と女たち、これはなかなか深いものがありまして、あの劉邦もかなりの女たらしで、後の皇后呂雉も初めは清楚な賢い妻だったのが、権力を得ると劉邦の妾曹氏にあのような凄惨な事をしてしまうわけで・・・。聖書の賢人ソロモンも千人の妻と後宮を持っていたし、権力を得ると色気が疼くのは洋の東西を問わずに人の性なのでありましょう
(陰の声:空海役の俳優、マイ・グランドサンに似ているぞ!)
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