本日の一冊:渡部昇一『「パル判決書」の真実』

東京裁判の法源は国際法ではなく、マッカーサーの「チャーター」に過ぎない(☞マッカーサー関連過去記事群)。その彼が朝鮮戦争でトルーマンに更迭され、対抗するために述べた自身の言葉で大統領への道も絶たれた。これは彼の最後の良心の吐露であったと思う。今、パール判事の判決が光る時代へと転機すべき時が来ている。

本書で渡部昇一氏は東京裁判は政治による復讐ショーであるとし、その理由は中世の騎士道を知らない新興国家アメリカ・プロテスタントの精神性の低さによると喝破している。現在でも福音がショービジネス化していることもむべなるかなである。根底にアメリカキリスト教の病理が潜むのだ。

かくしてマッカーサー自身、東京裁判の「二度と戦争を起こさないために裁く」という大義名分が無意味であることを認めるのだ。つまり法源である自身の判断の誤りを告白する。朝鮮戦争で骨身に沁みたのは、真の敵は日本ではなく、中国・ソ連であったのだと。これが”It’s doesn’t work.”の真意である。

しかし、日本の特に左系の連中はGHQにへつらい、その利権を得て勃興した者がいた。メディアもGHQによる統制により言論空間が歪んだことは江藤淳が『占領軍の検閲と戦後日本 閉された言語空間』において分析している。近々の書としてはケント・ギルバードの『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』が読みやすい。日本基督教団なども姑息にもGHQに媚びて生き延びたわけ。現在もGHQによるMC(War Guilty Information Program)によってニッポン人の精神はマヒしている。その象徴がこのバカ面(ポチ面とも言う)である。

米の病理はインディアンを虐殺した事実を抑圧し、自己欺瞞を正義と自由平等の標語で隠蔽。これがマッカーサーのように自我分裂として表出する。ブッシュ親子の戦争でもウクライナへの干渉においても言える。「中東の春」なども米の病理的干渉で悲惨なことになっている。たいてい「正義」を唱えるところには国家においても個人においても自己欺瞞が潜んでいるものである。この時、同じような事を繰り返し行うが、これを精神病理的には強迫反復と呼ぶ。

東京裁判では戦勝国側の犯罪はキーナンにより一切不問とされた。A級戦犯は「平和に対する罪」なる事後法によって裁かれたが、もっとも問われるべきは罪なき一般人を30万人も核で焼き殺した米国、これこそが平和のみならず、人類に対する本質的な罪である。

東京裁判についてはマッカーサー以外にも次のような証言がある:

・マッカーサー-はい。太平洋において、我々は、彼らを回避して、これを包囲しました。(中略)・・・日本は産品がほとんど何もありません、蚕(絹産業)を除いて。日本には綿がない、羊毛がない、石油製品がない、スズがない、ゴムがない、その他多くの物がない、が、その全てがアジア地域にはあった。日本は恐れていました。もし、それらの供給が断ち切られたら、日本では1000万人から1200万人の失業者が生じる。それゆえ、日本が戦争に突入した目的は、主として安全保障(security)の必要に迫られてのことでした。

・ウィロビー将軍-この裁判は歴史上最悪の偽善だった。こんな裁判が行われたので、自分の息子には軍人になることを禁じるつもりだ。日本が置かれていた状況をと同じ状況に置かれたならば、アメリカも日本と同様に戦争に訴えていたに違いないと思うからである。

・レーリング判事-国際裁判所が正義に基づいて処罰を加えることを求められているにもかかわらず、自ら正義の法理を適用しているか否かを審査する機能や義務さえ与えられないで、単に戦勝国の最高司令官の定めた法規を適用しなければならない。かようなことを本裁判所が認めるとすれば、それは国際法のためにこのうえなく有害なことをしたことになるだろう。

・フーバー-もしわれわれが日本人を挑発しなかったならば決して日本人から攻撃を受けるようなことはなかったであろう。

・リンドバーグ-ドイツ人がヨーロッパでユダヤ人になしたと同じようなことを、われわれは太平洋でも日本人に行ってきたのである。・・・地球上の片側で行われた蛮行はその反対側で行われても、蛮行であることには変わりがない。「汝ら人を裁くな、裁かれざる為なり」。この戦争はドイツ人や日本人ばかりではない、あらゆる諸国民に恥辱と荒廃をもたらしたのだ。

・ライシャワー-軍事法廷はかく裁いた。だが歴史は、それとは異なる裁きを下すであろうことは明らかである。

・プライス(米陸軍法務官)-東京裁判は、日本が侵略戦争をやったことを懲罰する裁判だが、無意味に帰するからやめたほうがよかろう。なぜならそれを訴追する原告アメリカが、明らかに責任があるからである。ソ連は日ソ中立条約を破って参戦したが、これはスターリンだけの責任ではなく、戦後に千島、樺太を譲ることを条件として、日本攻撃を依頼し、これを共同謀議したもので、これはやはり侵略者であるから、日本を侵略者呼ばわりして懲罰しても精神的効果はない。

そしてパール判事こうまとめた:

時が熱狂と偏見をやわらげたあかつきには、また理性が虚偽からその仮面をはぎ取ったあかつきには、そのときこそ、正義の女神は、その秤を平衡に保ちながら、過去の賞罰の多くに、そのところを変えることを要求するだろう。

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