放射能測定単位のおさらい
- 2011/03/22 21:06
- Category: 科学
- Tag: 核 医学
ニッポン国中が『核物理学』や『放射線医学』の講義のような状況になってきた。ベクレル、シーベルト、グレイなどの単位が飛び交い、その他にもレントゲン、ラド、レムなどがあるわけでして・・・。むかーし苦労して試験をクリアしたことがあるようなないような・・・というわけですが、ちょっと気になるデータを。
これは昨日の放射能(MBq/km^2:1キロ平方メートルの単位時間当たりの壊変数)をI-131とCs-137について観測した値。東京都がやたらと高くなっているわけ。多分降雨のためと思われるが、I-131は半減期が7日なので、まあ、問題ないが、Cs-137は30年だ。これが土の中にとどまって、30年間以上にわたりずっと放射線を出し続けるわけだ(もちろん量は半減していくわけだが)。
ちなみにCs-137はβ崩壊(電子を放出して中性子が陽子に変わる。よって原子数は不変)して、核異性体(電子の高い励起状態)のBa-m137に変わり、すぐにγ崩壊(電磁波を出して励起状態から安定状態に落ちる)してBa-137に変わる。と言うわけで、体内に入ると排泄されるまでの100日から200日にわたってガンマ線を体内から放射する(体内被曝)。まあ、体内にレントゲン機が置かれたようなものだ。ちなみにSvに換算するには、次の表を参照して-
吸入の場合、どの位吸い込むかよくわからないので、問題になってるほうれん草の例で、経口の場合で計算すると-
Cs-137の経口摂取の場合は、換算係数は1.3×10^-8Sv/Bqだから、報道でほうれん草1kg当たり1,931Bqとのことなので、300g食べたとして637Bq。よって637×1.3×10^-8=823.4×10^-8Sv。つまり8.23μSvなわけ。レントゲン1回が50μSvだから、まあ、問題なしでしょう。ちなみにCTですと1回当たり6,900μSv。
1Sv程度になるといろいろヤバイことが生じるので、それまでに1,000,000/24=41,667kg、つまり約42トンのほうれん草を食べるわけだ。まあ、ポパイでもない限り大丈夫だが、それにしても人間は一生の間にほうれん草をどの位食べるのか、ちょっと興味が湧いた・・・・。と言うわけで、ほうれん草や原乳を廃棄するとか言っているが、その必要はないんじゃないのかなぁ、とDr.Luke的には思っている次第。農家が気の毒ではある。菅さん、前のカイワレ大根のパフォーマンスをしてあげたらと思うのだが。
なお、上のグラフは通常時の東京の環境放射線量。平均で35nGy/h、つまり0.035μSv/h。日野のデータはこれよりはかなり高い数値(9倍程度)を示しているわけ。ただ、私などはラドン温泉が好きなくらいだから、温泉代が浮いていいのかもしれない。っと、なんだか副島モードに入ってきたのでやめる。
追記:放射性ヨウ素の観測数値が上昇した模様(→記事)。
3月20日には、茨城県日立市で露地栽培されていたホウレンソウから1キロあたり5万4000ベクレルの放射性ヨウ素を検出。この値を大まかに換算すると、およそ1200マイクロシーベルトになる。健康に影響があるとされる目安の放射線量は年間100ミリシーベルト(10万マイクロシーベルト)だ。単純化すると、この放射線量は、今回問題化しているホウレンソウ83キロ分。
しかし放射性ヨウ素は半減期7日だから、出荷制限しなくても大丈夫と思うが。なお、1Sv/年は下の理研の発ガン率のデータに拠ったが、上のセシウム値でも100mSv/yrで計算すると、4トン/年となる。それでも大丈夫でしょう?