マネーとローンの真実-ちょっと待てローンを組むその前に-

こんな記事が流れてきた。

2011年の記事を以前の記事を採録しておこう[1] … Continue reading。そこで高校数学の復習を。ローンの考え方は等比数列の応用だ。かつてアメリカではいわゆるサブプライム問題が起きた。年収300万の者が5,000万とかの物件をローンで購入した(させられた)のだ。これがいかに無謀なものか、次の計算で確認してほしい。

今、N万の物件を購入するとき、銀行から全額n年ローンで借り入れたとしよう。銀行はもしこれをn年間、金利rで運用していれば、n年後には

$$N(1+r)^{n} ……①$$

となる。

一方、借り入れた側は、年にa万円ずつ年末に返済するとする。初年度返済するa万はn年後には $$a(1+r)^{n-1}$$ に増加しているはず。翌年度のa万円はn-1年後に $$a(1+r)^{n-2}$$ 万円、・・・最終年度にはa万のままだ。すなわち、もし預金で運用していたら、

$$a(1+r)^{n-1}+a(1+r)^{n-2}+・・・ +a(1+r)+a$$

$$=\frac{a((1+r)^{n}-1)}{(1+r)-1} ……②$$

になるわけ。

そこで貸し手側の①と借り手側の②がバランスするように返済額aを決めればよいから、

$$\frac{a((1+r)^{n}-1)}{(1+r)-1}=N(1+r)^{n}$$

をaについて解くと

$$a=\frac{Nr(1+r)^{n}}{(1+r)^{n}-1}$$

と毎年の返済額が決まる。ちなみに借入額N=5,400万、r=0.06(6%)、n=30年として計算すると、

$$a=\frac{5400\cdot 0.06\cdot (1+0.06)^{30}}{(1+0.06)^{30}-1}=392.3$$

これを月になおすと、なんと32.7万円だ!要するに5,400万に対して返済総額は392.3×30=11,769万円。つまり1億2000万近く!

実はこれ、バブルの時の私の状況だったわけ(その後、証書を確認したら、実際は金利7.5%、借入額は5,510万円だったことが判明した・・・💦)。あの頃はこれだけ返済しても、金利の上昇で、年度末には未払い金利が100万近く積もって愕然としたものだ。おそるべし、住宅ローン!幸い、その後は低金利がずーっと続いているわけで、楽になった次第。

考えてほしいのだが、もしこれだけの返済をして、物件がこの総額未満になると見込めば、人々は購入などしないだろう。これがいわゆる不動産不況だ。インフレ率をr’として5,400万の物件は30年後に $$5400\cdot (1+r{}’)^{30}$$ になるから、

$$5400\cdot (1+r{}’)^{30}>12000$$

を解くと

$$r{}’>0.02$$

となる。つまり2%以上のインフレがないと、不動産は動かないのだ。ところが今はデフレ! しかもどぜう首相は所得税を上げると・・・(2011年のこの決定で安倍も消費税上げに追い込まれた)。一言、バカだ。東北の復興資金をねん出するためになら、アメリカの国債が80兆程度あるし、その金利だけも2-3兆はあるはず。これがどこへ消えているのか分からないのだ(100年償還の国債を発行すればよい。国債は国民の借金ではなく、資産となる。詳細はこちらを)。いざとなったら、米国債を売れよ・・・・と言いたいが、これをすると橋本さんの二の前になることを彼らは知っているのだ。

かくしてニッポンは何もなし得ず、国民様から搾り取ることしか考えていない。これで終焉を迎えつつあるわけ。最近何と、わがマンションのJALの機長さんが引っ越ししてしまった。わがマンションにはJAL関係者がけっこういるのだが、まさかあのニッポンの象徴JALが・・・以下略。

銀行は信用創造というカラクリで、例えば100万あったら、s=0.1(10%)を残して(準備金)、90万を貸出し、次も10%を残して81万を貸出しと繰り返すと

$$100+100(1-s)+100(1-s)^{2}+\cdot \cdot \cdot+100(1-s)^{n}+\cdot \cdot \cdot$$

$$= \frac{100}{1-(1-s)}=\frac{100}{s}$$

すなわち準備率s=0.1のとき、100/0.1=1000万になるのだ。銀行家はつねに現ナマを見ているのではなく、それを1/s倍した幻想を見ている。現に日銀発行残高は75兆程度だが、個人金融資産は1,200兆。普通預金でさえも300兆ある(2011年当時。現在は紙幣残高は120兆、個人資産は2千兆を超え、普通預金も400兆、企業の内部留保も500兆くらいあるらしい)。が、これはあくまでも帳簿上の数字。みんなが預金を取り崩そうとすれば、たちまちパンクする。これが信用クラッシュだが、これがまもなく起ころうとしている。そのとき政府は銀行口座を凍結するであろう。

みなさん、もしかしたら、今のうちに引き出して現金化した方がよいかも知れない。そして来たるべき近未来では、国の借金1,000兆をチャラにするために、ハイパーインフレを目論むかもしれない。というか、これしか策はないのだ。カネで持つのではなく、何か資産価値のキープできるブツに変えた方がよいかもだ・・(2011年当時、私も藤巻氏などのようにザイセイハタン論者だった。しかし、今のデフレで価値を生み出す能力(供給力)が毀損すると、マジでジンバブエ状態になりかねないところに来ている。つまりマネーはあっても生産力がないから、マネーの価値が担保できなくなるのだ。こうなるとハイパーインフレもあり得るわけ)。

そして面白いことは、主イエスご自身が金利の話をされている(Matt 25:27)。土の中にタラント(1タラントは6,000デナリ、当時のローマ兵の年俸は300デナリだから、20年分だ!)を埋めておいて、あなたは撒かないところから刈り取る過酷な方だから、と主人を責めた愚かな僕に対して、主は銀行に預けておくべきだった、と叱責されている。当時はまだ信用クラッシュは考慮されていなかったのかもしれないが、現在、もし主イエスが地上におられたら、はたしてこの不忠の僕になんと言って叱責されることであろうか?

そしてローンの真実を語るが、借り手の全員が完済することは原理的に不可能なのだ。なぜか? 今、10人の人がいたとして、まだマネー流通はない状態とする。ここで銀行が融資することで10人の間にマネーが回る。つまり銀行は万札を貸すのではなく、それぞれの口座に100万と記入するだけ。これが互い口座を巡るのだが、その総計は1,000万だ。そしてこれを返済するには労働してその流通マネーを得る必要がある。仮に平等にそれぞれが100万を得たとしても、それは元本分だけ。金利分はそもそもない! つまり金利分は誰かが破綻した分を他の者で分けるのだ。要するに椅子取りゲーム。これが現実である。

まことにマネーとは幻想。大衆の頭の中でそれに価値があると信じ込んでいる間だけ機能する。例えばゴールドとリンクしていたとしても、ゴールドに価値があると皆が思っているだけだ。極論すれば、みんなが信じていれば葉っぱでもいいわけだ。昔話にあったと思う、賢明に集めた金も目が覚めたら葉っぱだったと。まことに世は浮世狂言でございます。

00votes
Article Rating

References

References
1 当時、ぼくもザイセイハタン論者だったので、適宜修正をしておく。この中で2%のインフレ誘導が必要であることを指摘している。アベノミクスもこれを目指したが、消費税を上げて挫折。現在はデマンドプル型ではない、コストプッシュ型のインフレに苦しんでいる。収入は増えず、物価は上がるわけで、スタグフレーションとも言う。

是非フォローしてください

最新の情報をお伝えします

Subscribe
Notify of
guest

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments
Translate »
0
Would love your thoughts, please comment.x
()
x