現代脳科学と禅学の共通点から自己とフェイスを論じてみよう-善悪の知識の木からいのちの木へ転機せよ

この論考はすでに紹介した自由意志は幻想であるとする大脳科学の論の続きである。

すでに自由意志は幻想であること、しかし検閲により修正が可能であることを紹介したが、この論考もその延長上にあり、大変興味深い。「自己とは何か?」

意識は本当に現実との相互作用のための記憶システムか? 新しい研究によると、おそらく。

西洋のいわゆる分析的サイエンスの知見が、すでにかなり以前に説かれている禅的知見に近づいていることを見ることができる。

バドソン博士と彼の同僚は、「画家から小説家に至るまで、多くの、おそらく最も多くの創造的な取り組みは、意識的および無意識的な脳のプロセスが連携して行われた結果である可能性が高い」と述べて、彼らの仮説に警告を発しています。

厳格な学術的議論とは対照的に、いくつかの推測を提供しながら、研究者たちは、アルバート・アインシュタイン、アイザック・ニュートン、ジェーン・グドール、レイチェル・カーソンなどの学術的または芸術的先見の明のある人々は、意識を超えた世界を見ることができたかもしれないと仮定しています。心はそれがそうであることを示唆しています。

「言い換えれば、これらの人々の中には、無意識の脳のプロセスにもっとアクセスできた人もいるかもしれません。」

以上の論と次の説を比較してみよう。1957年(昭和32年)にフロムらと共にメキシコ自治国立大学医学部精神分析学教室主催で開催された、禅学と精神分析学に関するワークショップのテーマをまとめた『禅と精神分析』(東京創元社、昭和35年初版)において、禅学の世界的大家鈴木大拙が無意識と意識についてこう説いている:

神を愛するとは自己をむなしくすること、無心になること、いわゆる”死人となる”のである。つまり意識の制約的な動きに左右されないのである。

無意識の中から意識ある人間が出て来たのである。意識とは一種の飛躍である。しかし飛躍ということは物理学的に言っても接続を断絶するということではない。つまり意識と無意識とは、意識が常に、無意識と絶え間なく連絡を保っているいう関係にある。事実、無意識なくして意識の活動はあり得ないのである。

無意識が本能的なものである限りは、動物的、嬰児的以上を出でない。つまり一人前の人間のものとは言えない。一人前のおとなの無意識とは修練をへたところのものであって、この無意識を通じて我々が赤子の時から身につけて来た意識経験のすべてを変じて、われわれの全存在を構成するものとなすのである。

知恵分別の惑乱を脱却して来い、そうすればもはや恐怖、不安、心配といった厄介なものに攻め立てられる余地はなくなってしまう。この脱却(liberation)が獲得せられる時こそ、実に意識の全領域に修練された無意識が働くのである。

つまり善とか悪という二元的価値判断の世界を脱却せよ、そこに自由があると。それは考えたらそこにはなく、考えるのではなく、じかに見て取ることであると。

われわれ的にはキリストは今や命を与える霊となり(1Cor 15:45)、わたしのいのちとなられた(Col 3:4)、生きているのはもはやわたし(自己)ではない、肉にあっていきるわたしは御子フェイスのうちに生きる(Gal 2:20)[1] … Continue reading

はあ、自己は生きてないの、生きてるの、どっちよ? と左脳は考えてグルグル回り(脳内空転現象)に陥る。どちらも真である。前者の自己は善悪の知識の木により汚染された神から分離されたソレ(自意識に生きる自己)、後者の自己はいのちの木により純化された神に依存するソレ(キリスト意識に生きる自己)と、一応説明は可能だ。だが、波動であり粒子であるとされる量子ですら、その実体を把握することはできないのだ。いわんや・・・。このとき、無意識は聖霊による意識により支配され、恐れや不安から解かれるのである。

かくしてわたしと主はもはや「彼-我」の関係ではなく、ひとつだ(1コリント6:17)。フェイスはその方を対象として分析研究するのではなく(ヨハネ5:39-40)、食べ飲みすること(同6:55)、つまり、体験し味わうことである。まことに主は甘く、美味しいお方なのである!

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1 ここを「御子に対する」と訳すと「わたしが御子を信じる」として、「わたし」が出張るのである。これがプロテスタントの根本病理であるとすでに指摘している。

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