大東亜戦争か太平洋戦争か-カエサル・シーザー的視点から見た日本の功績と功罪

これは2013年12月9日のFB記事に手を加えたものー真珠湾攻撃は日本時間1941年12月8日未明だった。当時、陸軍は資源獲得のため南方へ侵攻し、英国の補給線を絶つために西に進む作戦を立てていた。ところが海軍の連合艦隊長官山本五十六が、自分にハワイをやらせてくれなければ自分は辞めると恫喝したため、永野修身は認めざるを得なかった。どうも女と博打が好きな彼の野心が潜んでいたのではと思われる。

その真珠湾攻撃もルーズベルトは事前に察知しており[1] … Continue reading、主力空母は別の場所に温存しつつ、アリゾナなど古い艦のみをデコイ(おとり)として配置し、日本に突っ込ませたのだ。ベトナム戦争のトンキン湾事件も米のやらせだったらしい。911以降のイラク戦も同じ手法。つまり最初に相手に手を出させてから動き出す。これで日本は大東亜戦争ではなく、太平洋戦争を招くことになる。

最終的に八紘一宇のスローガンの下[2]全世界が家族としてひとつ屋根の下に平和に暮らすこと。問題はその屋根が天皇だったことだろう。、大東亜共栄圏を構想し、植民地化されたアジア諸国を解放したと言う功績はあるものの、現地の統治は日本化を図り、天皇崇拝を強要し、日本語や日本文化を押し売りした。つまり白人の帝国主義を批判しつつ、自分たちも同じことをなしてしまったのだ。確かに現地のインフラや政治・経済・法律の機構を整えたりはしたが、民族のアイデンティティを否定したことは日本の罪責点と言える。

そして東京裁判はマッカーサーの一存で設けられ、国際法の根拠もない、単なる復讐を意図した政治ショーであったことはインドのパール判事などが指摘している通りである。しかし、日本のなした戦争は太平洋戦争として裁かれた。ところがマッカーサー自身も朝鮮戦争で本国の深部に裏切られ、大統領の道を絶たれてから、「日本は自衛のために戦ったのだ」と真実を発言した。自分が裁いた東条英機の論を裁いた本人が認めたのだ。

日本はどこで道を誤ったのだろう?

さて、このところローマに没頭している。今回は塩野七生氏のフィルターを通したローマを見ているが、三国志に勝るとも劣らぬダイナミクスと面白さがある。これはかなりのめり込みそうだ。中でも、やはり、共和制から帝政へとローマを導いたカエサル(Gaius Julius Caesar)の魅力が秀でている。塩野氏は彼なら愛人になってもよいと言われる程に、そのオトコ性に惚れているようだ。ちなみに彼は薄毛だったそうだが、実に女性にモテた。いや、確かに男も惚れるだろう。

・何かを生み出す行動でなければ、行動とは言えない。

・学習より創造である。創造こそ生の本質なのだ。

・始めたときは、それがどれほど善意から発したことであったとしても、時が経てば、そうではなくなる。

・人間とは噂の奴隷であり、しかもそれを、自分で望ましいと思う色をつけた形で信じてしまう。

・文章は、用いる言葉の選択で決まる。

・人は現実のすべてが見えるわけではなく、多くの人は見たいと思う現実しか見ない。

・人は、ほとんどいつも、望んでいることを信じようとする。

・競争が激しい場所で2位になるよりも、競争が激しくない場所で1位になるほうが良い。

・予測されるけれども目に見えない危険は、人の心を最もかき乱す。

・概して人は、見えることについて悩むよりも、見えないことについて多く悩むものだ。

・自分は自身の考えに忠実に生きたいと思う。それは、他人も同様だろう。だから、他人の生き方も認める。そうして、敵が私に再び刃を向けることになったとしても、それは仕方ない。そのように生きることが私の願いだから。

彼のとった政治の姿勢は寛容(クレメンシア)。敵を征服して自分にひれ伏させるのではなく、ローマ市民権を率先して与え、自立した存在として世界国家ローマに組み込んでしまう。自ら征服したガリア人からも元老院議員の出現を許したほど。ローマの城壁も廃止してしまうほど。終身独裁官になると自分の護衛団を解散。街の中をほとんど丸腰で歩いた。

かくしてカエサルの意思に反して、彼が王になることを意図していると邪推したブルータス以下14名の元元老院議員により刺殺される。かくしてルビコン川を国賊の汚名を受けることを覚悟して渡る時や暗殺時のセリフ、またクレオパトラとのロマンスなどはよく知られているとおりだ。彼のこれらの言葉を読むと、彼は人間を熟知していた。むしろ知り過ぎていたので裏切られたのだ。彼は自分についてこう告白している:

・わたしは王ではない。カエサルである。

しかし自分の欲で目が曇った者たちには、彼が脅威と映ったのだ。あたかも自分たちを頭から飲み込む大蛇のごときに。かくして妹の孫のオクタビアヌスが後継者として、彼は巧妙かつ合法的に皇帝の立場と権力を確立する。この手腕も見事であり、ヒトラーも彼から学んだのではないかと思われる。

歴史にIFはないが、もし大東亜共栄圏の構想をカエサルの手法で行っていたら・・・。日本がアジア諸国の植民地を解放したことは認めるし、そもそもが大東亜戦争のはずだったのが、太平洋戦争とされたのも事実だ。が、アジア諸国を日本化しようとしたのはまずかった。ローマ帝国のように、各地の自律性と多様性を許容し、市民権だけ与える方式でやればよかったのだ。白人と同じ帝国主義をマネして自滅したのである。

でも、極私的には、あの当時の日本の状態の延長線になくてよかったと思っている。去勢されてアメリカの属国ニッポンに堕していることは情けない限りだが、やはり一応の自由と人権は保障されている。現憲法もアメリカにより一週間で起草されたようだが、九条以外は実によくできていると感じている。自民党の改正案は正直怖い。まずは自衛隊を自衛軍あるいは防衛軍にすること。そして核を持つことだ。もっともアメリカがそれを許さないであろうが。

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1 情報が洩れていたわけで、後のミッドウェー海戦でも、米の罠にかかって攻撃対象が同地であることが判明して、米はあらかじめ罠を張っていたのだ。情報漏れは当時も今もわが国の弱点である。
2 全世界が家族としてひとつ屋根の下に平和に暮らすこと。問題はその屋根が天皇だったことだろう。

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