先に紹介した「オレンジ計画」に関するこの書、実におもしろい。今のニッポンが日本ではないのは、彼らが仕組んだことの結果なのだ。
1911年版「オレンジ計画」によると、対日戦争の工程表として
1.開戦当初は地理的に優位な日本海軍が太平洋のアメリカ領諸島を占領する。
2.米艦隊は西太平洋で陣容を整え、日本の通商線を破壊し、海戦により日本艦隊を圧倒する。
3.米海軍は島々を伝って北上し、日本へ接近。海上封鎖によって、日本の食料・燃料・原材料を枯渇させる。さらに日本本土に戦略爆撃を加えて、日本を屈服させる。
とし、中でも3.のための最後の決戦場が沖縄になることを指摘。すでにマハン大佐は1911年に「沖縄こそ米海軍にとって、最も有益な地点である」と主張し、沖縄に基地を建設することが日本壊滅の鍵となるとまで。
さかのぼると1853年にペリーが沖縄に米軍基地を作るべきことを政府に進言し、米政府は承認していたのだ。1906年版「オレンジ計画」で日本包囲のために沖縄占領が計画され、1911年版で具体案が決定され、「太平洋戦争」(彼らにとっては「大東亜戦争」ではない)で実行に移された。そして1945年6月に沖縄は占領されるのだった。
その後は・・・今、リアルタイムで見てる通りである。
☞防衛研究所のオレンジ計画に関する報告書(PDF)
アメリカの病理は<アングロ・サクソン至上主義×白いキリスト教>。帝国主義と白いキリスト教の融合体、これが世界を植民地とする西欧列強の競争を生んだ原動力である。まさにノア預言の成就である。自分たちは神の側にあって、未開人を文明化することこそが善(正義)であると。ニッポンキリスト教はその落とし子である。
この白いキリスト教と帝国主義の結合は啓示録の四色の馬に乗る者たち、それらはエレミヤ書にある四方に配置される霊であるが(上の記事参照)、エルサレムから見て西に配置される白い馬の霊こそが、欺瞞の白いキリスト教である。それは地中海世界を席巻し、さらに大西洋を越えてアメリカ大陸に届いた。アメリカは東海岸から初めて、西部劇でみられるようにインディアンを虐殺しつつ西進し、ついには太平洋を射程に収めたのだ。ここでその西の果てに位置する日本がクローズアップされる。
江戸時代までに、そしてそれ以後も白人の植民地化にあくまでも抵抗した(タイも)黄色い猿をなんとか屈服させる必要があったのだ。この辺りの分析はヘレン・ミアーズのこの書が実に正確である。アメリカには「オレンジ計画」を策定し、最後には原爆を民間人の上に落とす鬼畜もいれば、彼女のような良心を有している誠実な人物もいる。
ヘレン・ミアーズ(1900-1989)は1920年代から日米が開戦する前まで二度にわたって中国と日本を訪れ、東洋学を研究。戦争中はミシガン大学、ノースウェスタン大学などで日本社会について講義していた。1946年のGHQの諮問機関「労働政策11人委員会」のメンバーとして来日し、戦後日本の労働基本法の策定に携わった。
彼女は言う、
占領政策は日本国民と文明の抑圧であることがよくわかる。この計画は戦争の合法的行為、すなわち賠償行為の常識をはるかに超えた、圧倒的スケールの「懲罰」「拘束」である。これが、もし計画通りに実行されれば、私たちの意図とは関係なく、日本の伝統文明は破壊され、国民はアメリカの下僕となり、人口は減少するだろう。
これはまさに「オレンジ計画」の最終目標であることは明らかだ。そもそも東京裁判は国際法に基づかないマッカーサーの「チャーター」による復讐劇場であり、政治ショーであると、パール判事は指摘したが、アメリカ人自身もそれを追認している。まことにニッポンの今日を正確に言い当てているではないか。
東京裁判は国際法ではなく真っ赤ウソ―のチャーター(命令)によるだけ。しかも大統領への道が立たれた彼は、日本は自衛のためであったと証言した。自分が裁いた東條の証言と同じことを語った。真っ赤ウソー自身は日本が侵略目的ではなかったと知っているのだ。しかも、東京裁判は無意味だったとも(☞マッカーサーについての記事群)。
パール判事の指摘通り東京裁判は正義の実現でなく、復讐目的の政治ショーだった。元々、セオドア・ルーズベルトの策定した「オレンジ計画」で意図されていた通りだった。「日本が侵略する」との妄想は自分たちがインディアンらになしたことの良心の呵責による投影だったのだ。
では、どうしてアメリカはここまで日本を追い詰めなくてはならなかったのか? これは多分にアメリカ自身がハワイ王国やインディアンに対してした不法残虐行為による良心の呵責を抑圧し、それを相手に投影することにより自分がしたことを相手もするのではというパライノド(被害妄想)を抱いているのだ。これはヘレン氏の分析とも一致する。まさに「オレンジ計画」はその日本が世界を征服することを企んでいるという、自身の鏡像を見て恐れてのことなのだ。
ヘレン氏の観察をまとめると、アメリカ人は日本人をほぼ病的に恐れているという。関ヶ原以前から世界征服を企んでいたのだが(例えば秀吉の朝鮮出兵など)、その世界征服の野望を阻止するために原爆を落として二度と軍事的に立てない国にすることを企図したのだと指摘する。事実、アジア諸国の中でロシアに勝利し、戦艦大和やゼロ戦を作る黄色い猿はアングロ・サクソンのプライドを深く傷つけたことだろう。彼らにとっては猿のレベルを超える日本人は不都合な存在なのだ。
このヘレン氏の観察は「オレンジ計画」策定の動機が、「日本が開国以来世界征服を企んでいる」ことに対する対策として策定された事実に合致する。彼らの良心の呵責の投影としてのパラノイド(被害妄想)である。だから米は常に強迫的に軍備増強をするのだ。もちろん軍産複合体の利にもかなっているわけだが。
すなわちアメリカ人自身の内にある獣性、すなわちインデアンなどを虐殺し、暴力で土地を奪い、”文明化”してやるという押しつけがましい動機を日本人に投影したものと言える。パラノイド傾向と言うが、自分の像を恐れて相手を攻撃する被害妄想的行為である。近年でもアメリカがアフガンやイラクに行ったこと、中東の春やウクライナでの工作など、彼らの行為を見れば明らかである。この意味でも、日本はアメリカの”鏡”にされたと言える。
かくしてアメリカはこの良心の呵責を抱えたまま、反動として正義を旗印に世界のあちこちに干渉して戦争を作り出し、自分たちの価値観に合わない者を殺戮している。やり口はベトナムでもイラクでもつねに同じ。まず相手にやらせる、それを口実に攻め込むのだ。しかし決して真の平和は実現しない。欺瞞の上の平和などあり得ないから。この繰り返しを強迫反復と言う。
かつて私もこう予言している:
真剣にハマルティア(的外れ)してる者は一番扱いが困難である。彼らは自分が善に立ってるとハマルティアしてるからだ。それはある意味で狂気である。アメリカを見ると容易に理解できるであろう。